舞台「十二夜」音楽制作記③から続く
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ロンドン渡航と前後して、クリエイティブスタッフの打ち合わせが取り行われた。音楽打ち合わせ、美術打ち合わせなど。
普段舞台作品に演奏で参加する際は稽古を経てある程度形になった段階で合流するので、知らなかったプロセス。こうやって作っていくのだなーとのんびりした感想を抱いたりしたが、このプロセスを知ってしまったら…楽しいに決まってる!
各クリエイティブスタッフの皆さんから仕事に対する静かなプライドが伝わってきて、ワクワクする。もちろん私も音楽監督として譲れない部分は主張する。
少し脱線するが、作編曲と音楽監督はまるで別の仕事であるというのを今回身をもって体験している。音楽班として目指すゴールは同じなれど、使う脳の部位が違うというか。
これも経験してみなければ分からないこと。今回そういう発見がたくさんあって、大いに刺激を受けている。
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そんなこんなで本稽古へ突入。打ち合わせや事前稽古などじわじわ始動していたものの、全員が集まる稽古初日はやはり少し緊張した。
稽古ドラムorパーカッションとして創作初期から稽古に参加した経験はあるものの、読み合わせから参加するのは今回はじめてかも。しかもストレートプレイ。これまた新鮮で楽しい体験だった。
便宜上ストレートプレイと書いたが、実のところ私の中ではその枠に収まるつもりは毛頭ない。原作の『音楽。「音楽が恋を育む食べ物なら、続けてくれ。」』という文言を読んだ瞬間から、音楽が芝居にぴたりと寄り添い、時には優しくリードする、芝居と音楽が密接に結びついた作品を目指そうと心に決めていた。
森さんが稽古初日に全体へのインフォメーションとして「音楽が皆の想像以上に芝居と結びつく作品になる」とおっしゃって、身が引き締まると同時にとても嬉しかった。
稽古場で翻訳の松岡和子さんとご一緒出来たことも大きな歓びだった。元々「歌詞を大切に聴かせること」を自分の命題に掲げていたものの松岡さんご本人を前に聴いて頂くのは少し緊張があったが、「メロディ覚えちゃった」と「来たれ死よ」を可愛らしく口ずさんで下さった事は、いやはや、人生の宝物です。
彩の国さいたま芸術劇場の資料室には松岡さんの著作、寄贈書がたくさんある。素晴らしい学びの宝庫。ご本人とお会いしてこの十二夜が終わってもまた行こうと決意を固めた。
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つづく